養豚をやってみるNo.7〜近況報告

養豚場に入って一ヶ月経った。

当初、ガンガン豚を蹴って叩いて出荷してやるつもりで運転免許まで取得して入社したが、アレルギーという想定外のトラブルに見舞われた。


回復の兆しはなく、僕がやる予定だった仕事は急遽夫に入社してもらって、引き継ぐことになった。


では今養豚場で僕が何をしているのかというと、事務仕事全般。あとは、AIと呼ばれる人工授精の研究室で雄から採取した精液の仕事を色々やっている。


三角木馬みたいな変態的なオナニーマシーンで雄に精液を出させるのは、農場長の仕事だ。

僕が今やっていることも元々はすべて農場長の仕事だったので、研究室には決まって、農場長と僕の他には誰もいない。


農場長と聞くと麦わら帽子のおじいさんのような人をイメージしがちだが、この農場長は違う。

僕よりも結構年下で、社内でも二番目に若い。しかしキャリアとしては一番長く、社員のマネジメントも余裕でできる将来安泰の素晴らしい青年だ。


そんで、素晴らしい青年と聞くと爽やかな頭のいい笑顔の素敵な人をイメージしがちだが、この農場長はそれとも違う。

まず金髪で、よくわかんないけど常にニヤニヤしている。ニコニコじゃなく、ニヤニヤだ。

非常に不敵で、場面にそぐわなくて、最初見たときなんかは、大麻かな?と思ったくらいだ。


毎日青のツナギを着て、ニヤニヤしながら、雄豚の精液を採取して、ニヤニヤしながら、僕に精液の仕事を頼んでくる年下の上司、妻子あり。


此奴は非常に厄介で読めないところが結構あるが、間違いがないのは僕たち夫婦を非常に面倒見てくれていること。同時期に他に三人入社しているが、僕たちをえこひいきと言っていいほどに可愛がっている。


それともうひとつ間違いがないことがあって、下劣な話なので、いつでも消せるようにそれは別記事にしよう…


この一ヶ月、やめるとかやめないとかパワハラとかババアの嫉妬とかなんかいっぱい人とのトラブルがあったんだけど、とにかく、この不思議な農場長のおかげで、僕はまだ養豚場で働くことをやめずに済んでいるという、まずは近況報告。