鬱で、難しい言葉が思いつけない

窓の向こうの向こうから
蜩の声が響く
そのどこかから
夜長姫の笑い声が聞こえて
恐ろしい気持ちが流れ込む

助けてくれ
夜の窓に映ったぼくの顔は
どう見たってもう皺ができていて
あれ、ぼくは思春期ではないのか
あーはは、疲れちゃった

ふかい悲しみがぼくを抱く
やめてくれったって
やめてくれるわけがない
生まれて此方
取り憑かれているんだ

ただ普通の生活に憧れているだけなのに
それって罪でしょうか
いつになっても叶えられないまま
老いて死ぬのでしょうか

職も仲間も恋人も
何も失いたくない
神にとって
そんなぼくの思いは傲慢

世界を彩っていたすべてが
ものすごい勢いで薄れていく
色彩も光も影もない単調な世界が
またぼくを苦しめ壊しつくす

さようならぼく
さようなら、ぼく
またいつか 会いたい
ぼくに会えますように
さようなら