養豚をやってみる〜No.1 初出勤
一年半、社会を断絶し十分に休んだと感じたので、就職することにした。
再就職するにあたりグラフィックデザインを捨てて農業というジャンルに絞った。
まずは自分が農業高校出身であることと、モノづくりという括りでは農業はグラフィックデザインとは比べ物にならないくらいにヒトの原点であるから、前向きに挑戦したい気持ちがあった。
その中でも養豚を選んだことに特別な理由はないが、強いて言うならば、動物相手の仕事がいいなあと、なんとなくそう思ったからだ。
以前に野菜栽培の仕事をしていたことがあったから職場の雰囲気がどんな感じかはなんとなくつかんでいて、出勤初日もたいした緊張はなく、むしろ車で1時間半の通勤の方を億劫に思うくらいだった。
教育係には若い男性社員がついてくれた。
その人も数年前に異業種からの養豚業デビューを果たした人だが、周りの人々にかなり尊敬されているような、農業従事者には珍しいコミュニケーションを得意とするタイプの人だ。
初日は、そのTさんについて回りながら、Tさんのやった作業を真似て即実践というのを繰り返すという流れであった。
まずは事務所から畜舎に移動し、しばらく見回りをする。そこで自分はどうやら分娩舎をメインで担当するらしいことを察した。
つづく