テレビ

小学校高学年頃から、クラスメイトがやたらとテレビの話をするようになった。ASAYANがどうとか、めちゃイケがどうとか、主にバラエティ番組の話だったと思う。自然の摂理だがテレビの話ができないとなると特に女子は、だんだん孤立していく。

今でもテレビが苦手だ。何が苦手かって、バラエティ番組がまず苦手だ。ちょっとちょっと、そんなにいっぺんに!?となってしまう。いろいろな種類の音楽、効果音、タレント、服装、髪型、スタジオの装置など、情報が多すぎて追いきれないというのが理由だ。

それだけならばバラエティを避ければいいだけだったが、情報の乱入という点で何よりも苦手なのは、ちょいちょい挟まるCMである。上述のような多くの情報が、CMではなんと十五秒ごとに全く違ったものに入れ替わるのだ。卒倒する他ない。好きな映画はセリフを全暗記するまで繰り返し見るという類稀なしつこさでお馴染みの僕であるが、だからこそ散乱した情報から、自分に必要な情報だけを選択取得をすることが極めて困難なのである。

今の時代は幸いなことにオンデマンド配信や衛星放送もあるので、僕は専ら、そういったものでコンテンツを楽しむことにしている。

例えば、よく「テレビはなんとなくつけてる」という人がいる。僕のような脳カタワには到底理解のできぬ感覚であるが、僕はこれが羨ましい。テレビに限らず「なんとなく雰囲気のいい音楽を流す」とか「なんとなくオシャレな映画をリピートして流しておく」という感覚は、多分これからも一生理解することなく死んでくんだろう。変わらず、音楽を聴くときは他に作業もせず目を瞑って聴くんだろうし、映画のDVDを見るときは誰かがティッシュを取る音すら許さないくらいの静寂を求めて、だから誰かと一緒に楽しんだり、そのコンテンツのコミュニティに属すことができぬまま、僕は死ぬんだろうな。悲しいな。

就職したとき、会社の中でもテレビドラマやバラエティ番組の話をしている人々がたくさんいて、僕は心底、驚嘆した。大人になってもテレビの好きな女達がたくさんいるのは変わらないんだということが初めてわかって、冷や汗が出た。無理にでも観ようと、観て、話をしようと、そう試みた時期もあったがやはり難しかった。

でもいい。僕は皆がテレビを観ている分、違うことを沢山、自分の頭で考えているから、いい。理解者は自分しかいないが、自分の頭で考えることが僕の生きることだから、それでいい。

とりとめもないし上手くまとまんないんだけど、なんてことないテレビの話。

一番好きなテレビ番組は『世界の車窓から』です。