チョイス

29歳高卒

ポルシェと家族だけが存在する世界

ハロワから帰りのバス停まで歩く

寒くも暑くもない ぬるい外気にまみれて

金のことを考えながら 歩く

 

通りがかりのガソリンスタンドから

ビッカビカの 真っ赤なポルシェが出てくる

その窓からは ギラギラしたバブルババアが

イカした顔をのぞかせる

 

それを見た家族がはしゃいで

妖怪でもみたかような けたたましい声で

ポルシェだ!真っ赤なポルシェだ!

と、叫ぶ

 

百恵ちゃん世代にはたまらないらしいな

ポルシェのせいで透明人間になったぼくは

横断歩道のちょうど真ん中あたりで

家族とすれ違った

 

 

バブルババアは あのクソ目立つポルシェに乗って 

一体どこへ向かったんだろう

ギャーギャーうるさい家族たちは 仲良く歩いて

一体どこへ向かったんだろう

 

ぼくは一人 路線バスに乗って

また金のことを考えながら

いそいそ帰る